『 I have enough. 』by.nyanta

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 『 I have enough. 』by.nyanta

【かわりのことば 『私、いらないかも』】 「"愛してる"ってさ、難しいよな」 「ん?」 月を見ているとき、隣の彼がぼそりと呟いた。だから、私は思わず首を傾けた。 「そうかな?」 そうして、手すりに身を乗り出して夜空に浮かんだ月をただただ眺めた。 月はまん丸で、真っ白で、ぽかんとしていて、私はそのまま黙り込んでしまった。 夜風が少し肌寒い。ブルリと身震いすると、彼はすかさず私の右肩を引き寄せて、ピタリと自分の肩に付けて来た。 彼の肩に触れた瞬間、電気が走るみたいにドキリとした。 そのまま彼の横顔を見たらそれこそ心臓が止まる自信がある。だから、私は再び月を眺めた。 月は相変わらず真っ白で、相変わらずぽっかりだった。 「私、要らないかも」 私は静かに呟いた。 「何が?」 彼が聞いて来たので私はまた首を傾けた。 「ううん、なんでもない」 そして、いつものようにとぼけておいた。 〈私、十分なんだ〉 by.にゃんた様 https://estar.jp/users/147215602
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