不都合な女

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「明日、東京に戻ることにしたわ」 「もう行くんか、そないに忙しいんか」 「ここに居るとなんにもする気がなくなるのよ。リズムが狂うと取り戻すのが大変だから。父さんにも良い便りを聞かせてあげたいわね。待っててね」 「ええ便りか、さよか、令子にも伴侶が出来るのか、それなら、一緒に結婚式を挙げたいな。それも有りやな、はっはっはっは」 「そうね。頑張るわ」 「そうやった。昨日の今頃の時間やったけど、近くの海岸で若い男が倒れとったんや。救急車で運ばれてんけど、なんでも熱中症やったらしい。このところの炎天下にも関わらず海辺に長居するなんて、散歩にしてはおかしいし、この辺りも変な出来事が起こるようになったんか、それはそれで心配やな」 「そんなことがあったの。その人、無事だったのかしら?」 「どうかな、死んでも二ュースになるとは限らんし。・・・・おい、玲子、何処に行くんや?」 「ちょっと散歩に出かけてくる。夏が私を呼んでいるみたいな気分なの…」 「さよか、気い付けて行きや。お父さんは明日、大阪に行く予定なんや。ここに引っ越す前に住んでいたあの家が売却できたのや。なんなら新大阪まで一緒に行こか」 「ええ、わかったわ」
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