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成神はゆっくりと立ち上がりドアの方へと向かっていく。
教室の床に転がるバラバラになった元生徒を跨ぎながら進んでいく彼の頭には、まずはこの教室から出る事しか無かった。
「……動く。」
どうやらドアは動きそうだが滑りが悪くドアがすんなりと開かないが、成神は両手でドアを掴むと力一杯“ガラッ”と鈍い音を立てながら若干重いドアを開くことが出来た。
「はぁ……はぁ……。」
恐る恐る警戒をしながら成神の顔が廊下へ出る。
普段だったら多くの生徒が行き来していたであろう賑やかな廊下は、物音ひとつ感じられない空間へと成れ果てていた。
「あぁマジかよ……。」
思わず言葉を漏らす成神。
廊下の窓は“何か”がぶつかった様な割れ方をしており、破片は床に飛び散っている。
そして床には教室と同じ様に血痕は所々に付いていた。
(階段は教室ひとつ挟んだ所‥‥何もいない?逃げれる?)
成神が出て来た教室は一番端に位置しており、下へと下っていく階段はもうひとつ教室を挟んだ場所にある。
廊下の静かさから考えて、誰も何も居ないと成神は踏んだのだろう廊下へと出てくると体でもピリピリと感じるほどの嫌悪感にも似た空気を感じる。
(しかし何でこんな事に……。確か俺は昼休みに皆と話しをしててそれから……。)
何故こうなったかを記憶を辿りながら思い出そうとする成神。
しかし昼休みに友人らと話しをしていた所までしか記憶がなく、そこからの記憶はバッサリと切れていた。
(3の2は……。)
隣の教室である3の2のドアを開こうと手に力を入れるもピクリとも動かない。
ひび割れをした窓から中を覗くと、そこの教室にも机や椅子が散乱しており床には血だまりが見える。
そして体の一部だろうか、肉片の様なモノが転がっているのを確認すると成神は嗚咽感を覚えるもどうにか抑える。
「ここも同じかよ。」
嫌になりそうな現状。
だがこの現状に少しだが成れてきている自分がおり、成神は自身に対しても頭を抱える思いである。
「あ……トイレ。」
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