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3の2教室の隣にはトイレがある。
男子と女子トイレを挟む様に階段があり、成神はすぐにでも下に降りていきたい所だが水場のあるトイレで手や顔を洗いたいと考えた。
トイレの中に入った成神。
幸いなのか、中は比較的綺麗であり心から安堵感を覚える。
「水か‥‥!」
手洗い場の蛇口を捻る。
すると蛇口からはチョロチョロと勢いは弱いが水が流れてきた。
「やった‥‥!!」
成神はすぐに手をこする様に洗いベッタリと付いた血を洗い落とした。
服に付いた血は擦っても落ちないため諦めたが、手と顔に付いた血を完璧とは言わないが洗い落とす事が出来た。
「はぁっ……。」
鏡に映った自分の顔を見て大きくため息を吐く成神。
何故こうなってしまったを考えたい所だが、彼の頭には“この場”から逃げ出す事しか考えが無い。
トイレから周りを警戒しつつ出る成神。
そして階段の前へと移動し下に降りようと一歩目を踏み出そうとする。
ガタン……!
その音に成神の足がピタリと止まった。
身体中にゾワッと寒気が走りながらも、成神は首をゆっくりと右に向けた。
「……空いてる?」
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