いざ、カスガの岩へ!

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 そのため、演奏方法もアリたちが聞き取れる音域で行うことになる。彼女たちの間にも流行があるらしく、その曲をきちんと演奏できるキリギリスが重宝されるというわけだ。  ちなみに、今アリたちの間で少しずつブームとなりつつあるのは、リラックスできる軽い音調の曲だ。表では危険も多く常に気を張っていなければならないからストレスも溜まるのだろう。  演奏が終わるとアリたちは一斉に拍手をしてくれた。 「さすがは楓の葉!」 「いいね、アンコール頼むよ」  アリたちの食事が終わるまで演奏を行うと、先ほどの兵アリが茶色い食べ物を銜えてやってきた。 「近場に落ちていたドックフードの破片です。お召し上がりください」 『ありがとう!』  僕はそうお礼を言うとガリガリと音を立てて食べた。人間の作った食べ物は腹持ちがよくて重宝する。自分で探して食べたこともあったが、演奏の報酬としてもらった方が音楽の勉強にもなるし一石二鳥だと思う。  食べ終えた後、女王アリは言った。 「そういえば、他のキリギリスたちも起き始めた頃じゃろう。そろそろ勉強会があるのではないか?」 『そういえばそうですね。近日中に羽音が聞こえてくるでしょう』  女王アリの指摘通り、それから数日も経たないうちに外から無数の羽音が聞こえるようになった。その音色や曲調から誰が演奏しているのかもわかる。     
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