第2話 紅い閃光

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 俺たちはあの戦いの後、教会で身を寄せながら村を修復するために毎日通い続け、やっと人が住める程度まで回復した。  そんなある朝、俺と村長は最初に降り立ったあの場所から修復した村を眺めていた。 「やっとここまで修復したのぅ」 「村長は泣いたりしないのですか?あんなに多くの人が死んで悲しくないわけが……」 「そうじゃのぅ、わしは村長じゃ。わしが悲しんで誰がこの村を作る。誰か一人でも生きていてくれる限りわしは諦めない――お主が生きている限りな。」 「俺が生きている限り、ですか……。村長はいい人ですね。」 「いい人なんかではない。導く者はみんなそう思っておる。お主にも思い当たる節があるはずじゃ」  俺にもそう思ってくれている人がいたのだろうか。俺のような弱小者に。 「さぁ行くとするかのぅ、我らだけが休んでばかりではいけんからのぅ」 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※   こうして村は約2ヶ月の歳月をかけて修復を完了した。これだけ早く修復したのは村長の的確な指示と寝る暇も惜しんで働いた村人のおかげである。  そして俺はこの村を出ていくこと決心した。その前夜――俺はユリに借りた部屋で出立支度を終えベットで横になっていた。  ついに明日この村を出るのか。一時はこの村にずっといてもいいかと思っていたけどこれ以上お世話になる訳にも行かない。  その時、部屋のドアからノックが聞こえた。 「カナデ、起きてる?ちょっといいかな?」 「あぁ、起きてるよ。ちょっと待ってね」  ――ッ!?  胸が苦しい、息が続かない、体が重く……。 「その女とは関わらない方が身のためだ。おまえは世界を滅ぼす者。忠告はしておく、下手な情は作らない方がいい。いいな」  ――ハァ……ハァ……  なんなんだ今のは。あの声、確かどこかで聞いたことが 「カナデ?大丈夫?」 「な、なんでもない。今開ける。」  ドアを開けた先には白いオシャレなワンピース姿のユリがいた。綺麗な姿に見とれつつも、ユリを部屋に招待し、俺たちはベットに座って話し始めた。 「本当に明日旅立つの?」 「あぁ、この村にずっとお世話になる訳には行かない。それに俺にはやらなければいけないことがあるんだ。」 「そう……なんだね。あのさ、私も一緒に行っていいかな?」 「え!?大丈夫なのか?家族とか村の人とか心配するだろ?」 「大丈夫、村長や家族にはもう話してある。それに君は1人でいたら何も出来なさそうだしね」 「そんな笑顔で言われてもなぁ。俺だってこれでも努力してるんだよ」 「分かってるよ!いつも貰った剣で素振りしてるもんね」 「ば、バレてたか。でも村長に最低限のスキルは教わってるから」 「出来るかどうかは別だけどね」 「で、出来るよそのくらい!」  2人の笑い声が部屋中に響く。この平和な時間が続けばいい――カナデは時々そう思う。 「この旅がどれだけ過酷になるか分からない。俺にしたら全てが未知数だ。もしかしたら迷惑をかけるかもしれない。それでも着いてきてくれるか?」 「もちろん、それは承知の上!君が強くなるまで私は全力で手助けするよ!このタガーで!」  ユリは手元に出した黄金に輝くタガーを持って目の前を指した。 「危ないって!それを持ちながらいろんなところに指しちゃダメだって」 「はいはい、分かったよ。」  シャキッと音を立てながらタガーを棹にしまった。 「ユリの覚悟は分かった!じゃあこれからよろしくな!」 「うん!せいぜい君が失神しないように頑張るよ」 「それ、どういうことだよ」  こうして俺は、いや俺たちは堅い決意を持ちこの村を出ていくことを決心した。  ――いざ!まだ見ぬ世界へ!
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