第2話 紅い閃光

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 ここはどこなんだ?ちゃんと寝てたよな?  いつの間にかカナデは再び暗闇の中にいた。 「お前、あの人と行動を共にするのか?」  あの時の声と同じ声だ。今日は絶対に見つけ出してやる。 「あぁ、そうだ!そう言っているおまえはどこにいるんだ!」  カナデが暗闇の中を見渡すと紅い閃光を放つなにかがいた。 「そこにいる赤いやつはお前か?」 「赤いやつとはなんだ!そ、そうだ私だ!」 「おまえは何が目的なんだ?なぜ俺の体の中にいる?」 「私の目的はお前の体を乗っ取り世界を滅ぼすことだ。そして君は忘れたかもしれないが、ある契約を君と交わした。」 「契約?」  正直カナデは契約の内容がなにか分からなかった。あの時は意識がもうろうとしていた上に感情が高ぶっていたため、何をしたのかさえ自分でも分からないほどだった。 「そうだ!契約だ!君が巨大な力を得る代わりに命を吸い取らさせてもらい、命が絶えたところを私が食らいつくという事だ!」 「な、なんだよそれ!それに力なんてこの2ヶ月くらい出たことも無いぞ」 「まぁ私が出そうと思って出さなければその力は出ないがな」 「そんなの不平等じゃないか!この野郎っ!」  カナデは目の前にいる紅い閃光を放つ物体に向かって殴り続けたが、スピードが早い上に小さいため何一つ当たらない。 「ここは暴力禁止エリアですよ!そんなことをするならこうだ!」 「――うわぁぁぁ!」  カナデは激しい紅い閃光に目を潰され、気を失った。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「おーい!大丈夫かー?イタズラしちゃうぞー!」 「うわぁぁぁ!」 「「いたっ!!」」 「いたたた、もういきなりなんなの!」  どうやら予定までに起きない俺の事を心配してユリが俺の事を覗き込んでいたらしい。そこに俺がびっくりして起きたもんだから、2人のおでこには甚大な被害がおきた。 「ご、ごめん。それにしても随分とユリは楽しげだな」 「だって旅だよ!夢にまで見た旅!」 「そ、そこまで行きたかったのか。」 「うん!だから早く支度して村長に会いに行こう!」 「お、おう」 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※  支度を済ませた俺たち一行は村長に挨拶を済ませたあと、村の出入口で村長や村のみんなに見送られることになった。  ちなみにカナデの服装は黒で統一された長袖にジーパン、その上に村長がくれた黒いコート着ている。村長は村にある呉服店にここぞとばかりにオーダーメイドを頼み黒色、赤色、白色の三色のコートをわざわざ作ってくれた。  流石のカナデもこの待遇には驚きを隠せなかったが、赤や白だと目立ってしまい自分には合わないと思ったから黒を選んだ――要は目立ちたくないのだ。  ユリの服装は村に代々由緒正しき色として伝えられる赤色のおしゃれなワンピースに、白を基調としてあかいラインが入っているマントを組み合わせた衣装――ザ魔術師と言わんばかりの服装だ。少し目立ちすぎではあるが。 「本当に行ってしまうのかね?」 「はい、村長。短い間でしたけど、今までありがとうございました。」 「うむ、ユリちゅわんも気をつけてのぅ」 「はい!村長!しっかりとこの男をカバーしてやりますよ!」  ユリは楽しげかつ自信満々にそう言った。 「今日は無事晴れてよかったのぅ、この先の道は雨が降るとぬかるむからのぅ。ここから行くなら西の方角にあるハリンソンという町に行くといい。」 「「ありがとうございます!」」 「あと、これは少しばかりの礼じゃ。受け取ってくれい」  そう言うと村長は茶色い袋に入ったお金をユリに持たせた。 「村長ありがとう!」 「じゃあそろそろ俺たちは行きます。」 「うむ、達者でな!」 「「はい!」」  こうして俺たちは次の町ハリンソンを目指し、お世話になった村をあとにした。 「行ってしまったのぅ。とはいえ、あの者はただ者ではない――あれは世界を破滅へと導く者じゃ」
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