第3話 世界を滅ぼす者

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第3話 世界を滅ぼす者

 こうしてカナデたちは新たな舞台となるハリンソンへと歩き続け、旅立って五日目の夜――カナデ達は無事到着し、旅館で疲れを癒していた。  この町の近くには綺麗な湖があり、ここら辺の地域はどうやら水に富んだ場所らしい。そして、この旅館にある露天風呂はその恩恵を受けているためか、疲労回復の効果が絶大にあるらしく人気となっている。  そこでその人気が本当なのかどうかを調べるために露天風呂で心と体を癒していた。 「あー、やっぱり露天風呂はいいなぁ。地元も温泉はあったっちゃあったけど、やはり異世界温泉はひと味違うぜ」 「あら?僕ちゃん1人で何をブツブツ言っているわけ?」  誰だ、俺の後ろに立っている危険なオーラ全開な存在は。ま、まさかここで敵襲とかじゃないだろうな?あの村の戦いにいたザクロスとかが出てきたらそれこそ殺される。 「お隣に座ってもよろしいかしら?」  ここは一か八かだ。隣に来た瞬間に押さえつけて動けなくしてやる。 「では、お隣に失礼……」 「おりゃあああ!あ?」  この人、顔つきも怖いし危険な香りがするが抵抗しない……。逆に顔を赤らめてないか? 「ということは、いや、まさかこの世界にいるわけ……」 「やだー、あなた乱暴な子なのね。そういう乱暴な子、嫌いじゃないわぁ。さぁ襲いなさい!襲わないならこっちから行かせてもらうわよー!どりゃあああ!」 「おわあああ!ちょっと待ってー!」 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※  えーっとー、つまりは一緒に行きたいってことですか?」  なぜ俺たちの部屋にこのオネエがいるのかと言うと、あの襲われたときにどうやら相手側がこちら側のいろいろを気に入ってしまったらしく、そして何故か浴衣姿3人が集まるこのカオスな状況に至る。 「そうなのよぉ。私はこの子といきたいの!だからあなたに譲る訳には行かないわ」  おい!2人でいきたいの意味合い違ってねーか? っていうかこのオネエ気に入った人の部屋まで入って何をする気なんだよ。怖え 「分かりました。じゃあこれからは旅仲間としてよろしく!私の名前はユリよ!」 「おいちょ待て、え、旅仲間にするの?この気持ち悪いオネエを!?」 「気持ち悪いとはなんなのよ!もともと襲ってきたのはダーリンの方じゃない!」 「いや、そのダーリンってやめてくれないかな!それに襲った訳じゃなくて、あれは……」 「え、カナデくんこの人を襲ったの?酷い」 「完全に引いてるし!おまえは一緒に行きたいのか?」  目の前のオネエは唇に指を重ねて「どうしようかしら」と真面目に考え始めた。絶対に断るだろうと思って言ったことが過ちだったことにカナデは直ぐに気づいた。 「んー、そうねぇ、少しばかりいきたいの意味合いが違かったみたいだけど。一緒に旅をすれば襲える機会も増えるだろうし、こうなったら行くしかないわね!」  俺はまたひとつ大きな失敗を犯した。現実世界だけでなく異世界でも。これにはもう唖然する他なかった。 「じゃあ決定ね!まだお名前聞いてないから聞いてもいい?」 「いいわよォ。私の名前はキャサリン!オネエ族一の強者よ!私は日々聖剣エクスカリバーを探してここまで来たけど、ついに見つけたわ。私のエクスカリバー」  そう言うとキャサリンは俺のことを、正確に言うと俺の下半分を見ながらにやけていた。 「そうなのね!キャサリンさん凄いじゃない!これからよろしくお願いします。」  深々と頭を下げるユリ、この人はまだエクスカリバーとかこの人の人となりとかを分かっていないんだなって思うとこれから先が怖くなる。 「もぉう、キャサリンでいいわよぉ。今日は部屋を借りちゃってるから違う部屋になっちゃうけど、明日はどこかへ行くの?」 「明日はここの近くにある鉱山に行きたいと思っています」 「ほぅ、鉱山ねぇ。楽しみだわぁ!」  本当にこの人を連れていいのか?異世界生活はこんな感じだったっけ?いや、違う。絶世の美女に囲まれてハーレム生活をするのが普通のはずだ。なのになぜよりによってオネエが! 「では、そろそろ私は部屋に戻るわね!おやすみダーリン」  そう言うと、キャサリンはカナデにウインクをしたあと、襖を開けて出ていった。 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※   カナデはあれから終始無言と無表情を貫いた。そして今、カナデは眠れそうもなかった。決して遠足前のドキドキとかではない。恐怖と驚きを隠せないのだ。 「カナデ?起きてる?」  それは隣で寝ているユリからの呼びかけだった。 「うん、起きてるよ――どうしたの?」 「ごめんね、なんか私情に付き合ってもらっちゃって」 「うん、全然大丈夫」  今回の鉱山探索はあるユリの目的を果たすために行くことになっていた。その鉱山は昔から大きな結晶が取れることで有名で、言い伝えによると、その結晶のひとつに大きな力を得られる結晶があるらしい。それはある意味魔術師のロマンでもあった。 「明日、頑張ろうな」  ユリはいつの間にか寝てしまっていた。カナデも今日の出来事でかなり疲れている。「俺も今日は寝た方がいいな」と思いながら明日の不安を拭うように寝た。
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