何を探しているんですか。

13/31
前へ
/175ページ
次へ
「ピヨ、ピヨ、ピヨ」 「え? 誰!」  私はその声を辿り、歩き始めた。草をかき分けて、その声の主を探した。  すると、声の主が現れた。 「ピヨ、ピヨ、ピヨ」 「あの―何してるんですか?」  声の主は、私を見て驚いていた。 「え? 誰?」  こっちが誰だよ! 「あの―、なにか探しているんですか? 声が聞こえたので…」  声の主は目から涙を浮かべて私に言った。 「そう、ピヨちゃんがいなくなったんだ。俺の大事なネコちゃんが」  人間じゃなくてネコかいと言いたくなった。 「あ、そうでしたか。どこにいるんでしょうね?」 「あなたも探してくれる? 俺のために」  私の手を掴み、声の主は輝いた目で私を見たので断ることも出来なかった。 「…あ、はい」
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加