3.乙女ゲームのヒロインは内政チートで破滅フラグを回避したい

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 ―――。  ――。  ―。  失敗しました。  アイデア自体は悪くなかったと思うんです。  滑り出しはまずまず好調のはずだったんです。  ですが、私の出した内政チート改革案は下級貴族の「数少ない役得」「生活に必要な既得権益」を思いっきり踏み抜きました。  イケメンメガネは若くして政治手腕に長けた人でしたが、いかんせん侯爵という上級貴族の出自です。  下級貴族の「役得」「既得権益」にはまるで注意を払いませんでしたし、乙女ゲーヒロインである私の言うことを何でも受け容れちゃいますし、「役得」「既得権益」はよくないという正義感が突っ走りました。  なまじ私の父親が男爵という下級貴族であったこともあり、恨み骨髄に達する下級貴族たちの殺意はみんな、私に向いてきてるんですけどっ!?  あちこちで、下級貴族たちのボイコットが起こって、国政は大混乱中です。  その拡がる混乱の収拾に活躍してくれているのが悪役令嬢です。  あの公爵家、いえ悪役令嬢の存在感はますます大きくなっていきます。  領主代行としての手腕も認められはじめて、内政チートによる新規産業の育成も順調。  そこに今回の件による下級貴族たちのとりまとめ。  この国の勢力図はすでに王家と公爵家の逆転が始まりつつあります。  中世というのには随分と進んだ文明があるものの、この国の基盤は封建制です。  大小様々の領主である貴族たちが、最大の領主のある王家に忠誠を誓うという形で成立している領主連合体。  歴代王家の地道な努力により、領主の自治権を縮小して、国家全体としての統制力を少しずつ高めてきました。  その統制力を私はボロボロにしてしまったようです。  逆断罪を待つまでもなく、粛清されそうなんですけれど。
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