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 帽子とマフラーの下に見えたのは、輝く銀色の肌。顔に対して大きすぎる目。そして何より、足が3本あったのだ…。  女は恐怖を感じながらも、咄嗟に近くの塀の裏に隠れ、様子をうかがった。すると、謎の人物は腕から触手のようなものを伸ばし、枝に掛かった洗濯物を取った。  そして、3本の足を3つの股下に通すようにして、それを履いた。履いてしまうと、1本の足はしだいに縮んでいき、2本足に。肌や目もいつの間にか人間のものとなり、一見するとそこら辺を歩いている人と変わらなくなっていた。  あまりのことに女はしばらくその場を動けなかった。ようやく落ち着いた頃には、謎の人物はすでに消え、すっかり見失ってしまった。 「多分、何かの見間違いよね…」  女はそう自分に言い聞かせるようにして、買い物へと戻った。
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