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黒と白の関係 前編
朝からなんでこんな状態に落ちいっているのだろう……
「真剣なんだ。毎朝君を見てて…すごく可愛いなって。」
人が行き交う混雑したホームのど真ん中で、青年実業家風のサラリーマンから熱烈な愛の告白を受けていた。
この人朝の電車で何度か見かけた記憶はあるな。
そういえば熱っぽい視線を送られていたかも……
「良かったら連絡先教えてくれないかな?」
「あの……何か勘違いされてませんか?」
「なんでも好きなものを買ってあげるからっ。」
グイグイと間合いを詰めてくるサラリーマン。
ダメだ。完全に勘違いされている。
野次馬が集まってきた。
この中で真実を告げるのは抵抗があるが仕方がない。
「俺は────……」
「こいつ男ですよ?」
俺より先に後ろから答えられてしまった。
そう…俺は男だ。
男物の制服だって着てるのに……
「ウソでしょ?君が男って…からかってる?」
「信じてないみたいだしチンチン見せてやったら?」
後ろからまた、はやし立てるように口を挟んでくる。
「ふざけんなよ…黒っ。」
俺は振り向いてその相手をにらみつけた。
そいつの名は黒沢 健。通称、黒。
俺とは小学生からのくされ縁だ。
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