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「黒っ!いい加減一人の女の子を大切にしろよっ。」
「……なんで?」
「取っかえ引っ変えするより、じっくり付き合った方が絶対いいって。」
「大して好きでもない女と?」
「大して好きでもない女と付き合うなよっ!」
「俺だってこの気持ちをどうすりゃいいんだかわかんねぇんだよ。」
「はあ?」
なんだよそれは……?
好きこのんで女遊びしてるんじゃないのか?
黒が口をつぐみ、訴えるような目で俺のことを見つめてきた。
言いたいことがあるなら言えばいいのに。
なんだか悲しそうな感じがするんだけど、相当悩んでいるのか……?
黒がなにを考えてるのか、わけがわからんのは今に始まったことじゃないけど……
「もういい…白と話してるとイライラする。」
黒はイラつきながら立ち上がり教室から出ていった。
また急に怒り出すし……
今度こそ帰ったのかなと思ったら、すぐに戻ってきた。
「白おまえもうしゃべんな。立て。出来るまで練習する。」
夜遅くまで黒と特訓して、なんとか形にはなった。
俺にとって黒は一番長く一緒にいた存在で、そばにいないことの方が不自然に感じるほどだ。
俺のことを決して見捨てない黒に、心のどこかでは頼っている……
小学生から気心がしれた黒に甘えているのは
俺も同じなのかもしれない────────
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