黒と白の関係 中編

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手芸部が作ったシンデレラと王子様の服は高校生が作ったとは思えないくらい豪華で本格的なものだった。 シンデレラのドレスはピンク色がベースのプリンセスラインと呼ばれるシルエットで、スカートの部分が腰から裾にかけてふんわりとボリュームのあるとても可愛らしいデザインだった。 王子様の方は上が淡い水色でズボンが紺色の軍服系のタイトなデザインで、肩章や肩帯、背中には深紅の長いマントを羽織り、すごくクールで格好良かった。 「まずは黒君ね。」 部長に連れられ、黒がカーテンで仕切られた試着室へと入って行った。 黒は身長が高いし整った顔立ちだからきっと似合うだろうな。 にしてもこのドレス…… 俺は先程から気になっていたことを咲希ちゃんに質問した。 「このドレス胸がある感じだけど、俺胸ないよ?」 「……うん、そこはまぁ…これを……」 咲希ちゃんが遠慮気味に分厚い胸パットが入ったチューブトップのブラを袋から取り出した。 「ムリムリムリムリムリっ!」 「でも胸がペタンコだとおかしいからっ。」 いくら咲希ちゃんの頼みでも女物の下着を付けるくらいなら死んだ方がマシだっ! 手芸部の部員全員から拝み倒されたのだが、俺は断固として首を縦には振らなかった。     
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