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今日、僕は雪乃と綾の3人で出掛ける。
元々は雪乃が1人で映画を観に行く話を聞き、綾がなんの映画を観に行くのかを聞いたことが発端である。
その映画が綾が観に行きたいと前から言っていた映画であり、そこで初めて雪乃と綾の二人が観たい映画だと判明し、零も二人から誘われる形で映画行きが決定した。
映画館で雪乃と待ち合わせをしているが、零は既にぐったりと疲れていた。
「なんでこんなに声を掛けてくるんだ……雪乃はまだなの?」
零の言葉に綾も苦笑いをするしかない。
あちらこちらから視線を感じるし、今にも声を掛けられそうな雰囲気があるのを察知しているからだ。
早く映画が観たい、切実に。
「まぁまぁ。気持ちはわかるけど、落ち着いて。」
「今なら草食動物の気持ちがわかるよ。まるで狩られる獲物の気分だよ。」
獲物とは随分な言い草である。
「流石に囲まれると端から見たら僕たちは狩られる側だよね。うん?零、今更気付いたんだけどさ、この状況だと雪乃ちゃんに会えないんじゃない?あの子、感受性豊かだしね。」
「そう思ってLINEしているんだけど、返事がないんだ。時間も迫っているし、このままここで待っていても仕方ないし、先に全員分のチケットを買おう。」
零はスマートフォンを操作し、辺りを見渡す。
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