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「ふぅ...しっあわせだぁ...」
豪華絢爛な上質カーテンが春風に舞う。
私...シエル=デロームはホウキを片手にほうっとため息をついた。
綺麗に磨かれた窓からガラス越しに覗き見えるのは、春の日差しに咲き乱れる色とりどりの花...と...。
「尊い...!」
緩み切った私の唇から溢れ出た言葉に、隣でホウキを構える同僚・アンナが眉をひそめた。
彼女はサラサラの髪を揺らして、呆れ返った様子で言う。
「あんた...ホントに好きよね、"ご主人様"」
「あっったりまえじゃん!流石我が最推し!とうといいいい!」
はい皆さんこんにちは。私は今日も元気です。今日も今日とてベストコンディションで推しを拝んでます。尊い尊すぎる。神様ありがとう。この世界は美しいわ...はぁぁぁ。
序盤のテンションはごめんなさい、ちょっと猫かぶりました。こっちが素ですもちろん!
私はこの国でも指折りの権力者、ティアーゼ=グルヴィア様のお屋敷で働く使用人だ。いや...使用人って言い方なんかやだな、変えよう。
私はティアーゼ=グルヴィアさまのお屋敷で働くメイドだ。うん、こっちの方がいいよね。
ティアーゼ様は24歳という若さでその魔力と頭脳を見越されて国の重要な役職に就いた、まぁ端的に言うと凄い人。チート。うん。
そしてまぁ何より...。
「はぁぁぁなんなのマジで尊すぎない?金髪金眼高身長足長の時点で見目麗しいってか神々しいしスペック高いし、執務の時だけ眼鏡とかギャップ可愛いかよありがとうございますだし、いつも割と俺様クールな感じなのに気心知れた人には笑顔見せたりするしもう逆に推せない理由ある!?」
「早口言葉ご苦労さま。鼻息なんとかしな」
アンナの冷静なツッコミ。
つまりそういうことである。ご主人様である前にティアーゼ様は私の永遠の最推し!歳を重ねても雰囲気ある老人になること間違いないから一生推せる!!!!
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