第一章 夢枕

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見ると街の西側に川があり、その支川に水車小屋があるのが見える。 「おう、きっとあそこにブラックサンダー号を隠せるはずさ、感じれば そうなるんだから夢は便利さ」と、舵を西に切り空飛ぶゴンドラを旋回させつつ降下させていく。 水車小屋の近くに着水したゴンドラを水車小屋に向け、上陸装置を使って陸地に上がり小屋の中の空間にゴンドラを収納した。 「よし、ここで暗号を唱え、ゴンドラを見えなくしておけば安心さ」と、 ザ・ドは自分の身長を暗号にして呪文を唱えた。 すると空飛ぶゴンドラは周囲の景色に溶け込んで見えなくなった。 「さて、街に出かけよう」と、水車小屋の扉を閉めて歩き出した。 暫らく川に沿って歩くと街に入れる橋が見えてきた。 「何とも情緒がある石造りの橋だな、一体どんな時代?というかどんな世界に来たんだ?」と、自分の内側のうづきに聞いてみるがスッキリとした自覚が沸いてこない。 「まあ、そのうちに確定して来るんだろう、夢だからな・・・」と、この世界の特徴を理解しているつもりのザ・ドである。 端を渡って街に近付くと色んな服装の人々が見えてきた。 自分の服装が古風な剣士の服装なので、それが違和感を生じない世界であってほしいと念じていたので、人々の服装もやや古風な感じでザ・ドの存在も違和感を生じない。 「このへんが夢の安直さでいいね」と、何故か納得するザ・ドであった。 「この街を知るには、この街の食べ物を知ること」と、ザ・ドは食事処を探した。 「食事処の看板は豚の鼻の下にナイフとフォークの絵だよな」と、考えながら通りを歩ていくと右側にの軒に約束したかのように考えていた通りの看板がかかった家があるではないか。 「ふふ、ここだな」と、扉を開けて店に入って行く。 こぎれいな食堂でテーブルが十脚程度白いカバーをかけてあり清潔感を醸し出している。 窓際のテーブルの椅子に座りメニューを見るが、何が書いてあるかわからない文字列が並んでいる。 しかし、ザ・ドはこの読めない見字が意味するものを知っているのである。 思いつくままに発言して、頭に食べたいものを想像すれば通じるのである。 「夢は楽でいい」ここでも、その原理が通じるのである。 「ワインはこれで」と言っているつもりでめちゃくちゃにしゃべっても 「畏まりました、サー」と、サーまで付けて応えてくれる。 この世界では、自分はサーなのである。
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