18人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「・・・・次は、圭介さんです」
老人は、ゆっくりと話始めた。
圭介の体は小刻みに震え出す。
「・・・・ご自身で話せる状態ではありませんね」
老人が圭介を見て、言った。
「圭介は・・・・圭介はどんな過去を?」
老人は、軽く深呼吸をする。
「これから話す事は、恵美さんの決断次第となります。あなたが圭介さんと結婚して、幸せな家庭を築ける未来の可能性は充分にあります。あなたが、彼をどう受け止め、どんな答えを出すか・・・・」
隣に座る圭介を見る。
彼の顔は、引きつっていた。
呼吸は激しくなり、暗がりでもわかる程の汗を額にかいている。
ねぇ、圭介?
どうして、そんな顔をしているの?
あなたの過去に何があったの?
でも、あなたの過去に何があろうと私は受け止めるわ。
例え、どんな真実だったとしても・・・・
いくら隠そうとしても、過去に自身に降りかかった出来事や不幸って、何かのきっかけで発覚するわ。
それは、生きている限りずっと消えない。
でも大事な事は、それを理由にして下を向いたまま生きていかない事だと思うの。
苦しい事や辛い事。
これから長い人生、まだまだ沢山あると思うわ。
その分、楽しい事や嬉しい事だってきっと沢山ある。
そんな人生をこれから先、あなたの隣に私がいて、一緒に過ごして生きたいの。
だから・・・・
「・・・・話してください」
私は、老人に向かって言った。
すると、老人はゆっくりと口を開けた。
「圭介さん・・・・あなたは、25年前・・・・」
「・・・・やっ・・やめ・・ろ」
圭介は頭を抱える。
「圭介さん・・・・あなたは、25年前・・・・」
「うわぁぁぁぁ、止めてくれーーー」
「圭介!!!落ち着いて!!!」
隣に座る圭介を抱き締めた。
「・・・大丈夫だから、圭介。何を聞いてもあなたを裏切らないわ。だから・・・ねぇ?」
「・・・・恵美」
「・・・・お願いします。話して下さい」
改めて、老人に向かって言った。
大丈夫。
過去に圭介に何があったとしても、受け入れる覚悟を持ってここに来たの。
「圭介さん。あなたは、25年前。あなたが17歳の時です・・・・」
私は固唾を飲んだ・・・・
最初のコメントを投稿しよう!