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「なるほどな」
「でね、目に見えるほどの大きな変化って環境が自然と変わったからってことはないと思うの。天気は急に変わったりするけど、徐々にそうゆう天気の変化が起きるような環境になったってだけだし」
「確かに…ん?じゃああかりさんが疑ってるのってどんな…」
ますます話がわからない。自然な変化じゃないなんて、そんなの人が変えるってことくらいしかないじゃないか。
まさか。
「人が何かしたんじゃって、疑ってるのか?」
半分冗談のつもりで思ったことを口にするが、朔の反応はなく、真面目な表情は肯定を表していた。
「で、でも人はみんな移住したんだろ?火星とか、ほかの星に」
「みんな、ではないの」
「え?」
「地球に残っている人もいるの。日本は政府が先導して火星移住計画を進めたから、全員移住してることになってるけど、全部の国がそうとは限らない」
「そうなのか…でもどうして?このまま地球に残るのはめちゃくちゃ危ないんだろ?」
「それを信じなかった人たちもいるってこと。それか信じてても他の理由で残った人たちも。そうゆう人たちを移住拒否者って呼ぶの」
移住拒否者が日本にいないとは限らないため、宙稀を見つけたときには警戒したのだと朔は笑って言った。
「その移住拒否者が…地球の環境を変えるくらいの何かをしてるって…そんなことできるのか?もともと世界中に人がいたときにもそんなことなかったんだろ?」
「…憶測ではあるんだよ?でも、移住する人とか国が持ってた資源は手放されて自由に使えるようにはなってるから…」
わかりやすいのは油田である。持ち主を大富豪にまで押し上げる宝箱のようであった油田でさえ、移住するとなれば全く価値のないものになる。そうして金など必要なものに変えられた油田は、時代によっては戦争さえ引き起こすほどの大きな資源である。移住せずに残った人々が独占して使おうとするのもあり得なくはないだろう。そして、ほかの資源も同様である。
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