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第一章 井上勇樹の想像記 3 ~学校編~
はいは~い、井上勇樹の想像記その3!
いよいよ本編だよ~ん!(「だよ~ん」ってなんだよ」とつぶやいた方、正しい!拍手!)
さて、いつものごとく廊下に立っているぼくなんだけど。
今日はどんな想像しようかな~。
う~ん……。
そうだ!
大怪獣ゴシラ(「ゴジラだろ!」とツッコんだ方、正しい!拍手!)とヒーロー『イノウエマン』(「なんだよイノウエマンって!」と叫んだ方、正しい!拍手!)の対決なんてどうだろう。
うん、よし!
想像記スタート!
ピーッ、ピーッ、ピーッ……。
鳴り響くサイレン。
ゴシラが上陸したんだ!
「きゃー!」
「うわー!」
逃げ惑う人々。
ズシーン、ズシーン。
ゴシラが家々を巨大な足で踏みつぶす。
「ぎゃーーーーーっ!」
サラリーマンの悲鳴。
泣き叫ぶ赤ん坊。
デート中のカップルがへたりこんで震える。
「誰か助けてくれー!」
その悲鳴を合図にしたかのように、突然、スタンという軽い音を立てて一人の人物が道に降り立った。
「誰だ!?」
「まさか、正義の味方なの!?」
人々が口々に言った。
誰かって?
ふふふ。
そ~の~名~も~……。
「正義の味方、イノウエマン参上!」
赤いマントをひるがえし、「I」のイニシャルが入ったレオタードを身にまとったその人物が決めポーズをとって言った。(「れ お た ー ど……?衣装作った人、趣味悪くない?」「きっと誰にもレオタードづくりを引き受けてもらえなくて、自分で作ったんだろ。悲しいな。」と指摘した方、正しい!拍手!)
ビシッとゴシラを指さし、イノウエマンが叫んだ。
「おい、ゴシラ!ぼくが来たからには、もうお前の好きにはさせないぞ!覚悟しろ!」
そのひときわ大きな声に、耳のいいゴシラが反応する。
「ギャオオオオオウゥ!」
ゴシラが、イノウエマンに突進した。
「危ない!」
近くにいた野次馬兼観衆が叫ぶ。
しかしイノウエマンは、軽々と攻撃をかわした。
技名を叫んで、ゴシラにパンチをくらわせる。
「イノウエパ~ンチ!」(「アンパンのマネじゃん。」「何でいちいち技名言うの?」と言った方、正しい!拍手!)
「キャオオオウーーーーーーーーーーー!!!!!!」
すさまじい悲鳴をあげて倒れるゴシラ。
「素敵ー、イノウエマン!」
近くにいた女性が黄色い悲鳴をあげた。(「ゴシラ、弱っ。なんで警察に倒せなかったの?」「イノウエマンが素敵?近くにいたっていう女性、精神科に言ったほうがいいんじゃないの?」「まあ、はっきり言えば現実逃避だな。」と言った方、正しい!拍手!)
こうして、町に平和が戻ったのでした。
イノウエマンは夕日をバックに決めポーズをと……。
ドカーン!
「痛ったー!」
ぼくは頭をおさえてしゃがみこんだ。
と、その目に先生の握りこぶしが飛び込んできた。
「!!!」
一気に現実に戻ってくるぼく。
「毎度毎度のことなんだが……。」
先生の声は、すごく優しい。
でも、ぼくは知ってる。
先生は怒ると怒鳴るんだけど、本当に……そりゃもう力さえあれば宇宙だってぶっ壊したいってくらいに激怒してるときは、すっごく優しい声をだすんだ。
つまり、今の先生の怒りメーターは振り切ってるってことに……。
「何を考えたのか知らんが、お前が廊下の壁をなぐりつけたためにものすごい音がして授業の邪魔になったんだ。来てみたらふざけたポーズをとってるし……。」
ぼくの頭の中で計算が行われる。
今ぼくは空想内でゴシラをなぐりとばした。
しかし現実世界でそこにあったのは壁。
大きな音に怒った先生は廊下に出た。
ちょうどその時ぼくの空想内ではイノウエマンが夕日をバックに決めポーズをとったシーンが……。
「もしよかったら、職員室まで来てほしいんだが……。」
先生の口調は優しいまま。
しかし、ぼくにはエンマ大王の死刑宣告よりこわい。
さらに「もしよかったら」と言っているが、「よくありませんのでお断りします」と言えば、その時は……。
ぼくはゴクンとつばを飲み込んで、蚊の鳴くような声で
「ゎゕりました。」
と答えた。
その後ぼくが職員室で地獄を味わった話は、また時期を見て……と言いたいけど、思い出すだけで血の気がひくので言わないことにしよう。
何があったかは、ご想像におまかせします。
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