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「だからあんたは鈍いっていうのよ。でもね、鈍いってわかってて、遠回しな言い方をした私も悪かった。だから、はっきり言うよ」
友梨奈はそう言うと、大きく深呼吸する。いったい何を言うつもりだろうと、僕は思わず身構える。そして、友梨奈が口を開いた。
「私はあんたが好き。だから、私と付き合って」
その言葉に、僕は固まってしまった。どんな反応をしたらいいのかわからない。いや、僕も友梨奈のことが好きなのだから、素直に喜んで受け入れればいいだけだ。だけど、あまりの驚きに、上手く反応できない。
「い、いつから?」
僕は吃りながら尋ねた。
「ずっと前からよ。それこそ、小学生の頃から。私が剣道を始めたのも、あんたが柔道を始めたからよ。ほら、剣道場って、柔道場の隣にあるでしょう? だったら、隣からいつもあんたのことを見てられるなって。私はいつもあんたの隣にいたかった。だけど、鈍いあんたは全然気づいてくれなかったけどね」
「なんか、ごめん」
僕が謝ると、
「謝らなくていいわよ」
と、友梨奈が笑ってみせる。しばらく笑顔を見せて、それから急に真剣な表情を浮かべる。
「それで、付き合ってくれるの? それとも付き合ってくれないの?」
友梨奈の問いに、僕は深呼吸してから、ドキドキする気持ちを必死に抑えながら答える。
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