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だけど、一ヶ月ほど経ったある日、僕と友梨奈は大喧嘩した。原因は、僕が友梨奈のノートにうっかりお茶を零してしまったことだ。もちろん、わざとやったのではない。水筒のお茶を飲もうとしたとき、手が滑って、隣の席の友梨奈のノートの上に落ちたのだ。そのことに、友梨奈は激怒して、僕に殴りかかってきた。
もちろん僕はそれに応戦して、その結果、殴り合いになってしまった。結局、担任の先生が止めに来るまで殴り合いは続き、ようやく喧嘩が終わったときには、僕も友梨奈も激しく鼻血を流していた。
だけど、その喧嘩がきっかけで、僕は友梨奈と仲良くなった。
「今時の男子はちょっと殴ったくらいでピイピイ泣いちゃうけど、あんたは強いのね。気に入ったわ」
担任が去った後に友梨奈が吐いたその言葉は、今でも僕の耳に残っている。そして、僕たちは固く握手をして親友になった。
中学校に入ると、僕は柔道を始め、友梨奈は剣道を始めた。最初のうちは、“いつか二人で異種格闘技戦でもできたら楽しいね”などと冗談を言っていたが、そんな冗談を言い合える日々はすぐに終わる。なかなか上達しない僕と、メキメキと腕を上げる友梨奈。僕たちの間には、少しずつ隔たりができ始めていた。
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