Youth

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 中学三年生になると、友梨奈はキャプテンを任されるほどになったが、一方の僕は団体戦の補欠に選ばれるのが関の山だ。その立場には雲泥の差がある。僕は友梨奈と一緒にいることに、居心地の悪さを感じるようになっていた。それでも友梨奈は、親友として僕に接してきたし、支えてくれることもしばしばあった。  そんな居心地の悪さがなくなったのは、高校に入学してからのことだ。何かきっかけがあったというわけではない。ただ単純に、僕が人間的に少し成長したということなのだろう。僕は僕、友梨奈は友梨奈と割り切れるようになった。それから、僕と友梨奈は、それぞれの競技は違うものの、切磋琢磨してきた。そして、この最後の大会を迎えたのだ。  友梨奈が去って五分ほどしてから、僕は、柔道場に戻った。ちょうど、僕の後輩の試合が始まるところで、顧問の先生が何かアドバイスをしていた。試合場に立った後輩は、“始め”の合図がかかるとすぐに、釣り手と引き手を取っていい体勢を作る。顧問の先生もチームメイトも、その状況に沸き立つ。僕の試合のときとは大違いの状況に、居心地の悪さを感じざるを得ない。本当は僕も後輩の応援をするべきなのだろうが、どうしてもそういう気分になれず、もう一度こっそりと柔道場を出た。     
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