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〜サルビア〜
初めて彼女と会った日。その時の警戒やら焦りを恥ずかしさと共に懐かしく思う
結果的にそんな必要は皆無で。
彼女は優しくて、あまり作法がなっていない私やサリーナにも微笑んだ
それはよく貴族の令嬢や夫人がするあの貼り付けたような微笑ではなく、自然体な優しいほほえみで、思わず見惚れてしまったことを今でもよく覚えている
自他共に認める親友と呼べる間柄になるのに時間はかからなかった
いつも側に居るようになってからどのくらい経った頃だったか
私は親友の婚約者に恋をしていた。
でも、苦しさは無かった
親友の幸せそうな表情を見ていると、横恋慕の苦しさなどどこかへ消えてしまうのだ
そんな私に「あら、諦める必要などありませんわ?」とあっけらかんとした表情で言ってくれたのは、本来なら仲良くなど絶対ならなかったであろうルシアーナ様だった
セレスティナ様とエルグランド殿下は人を簡単に変えてしまうし、貴族の在り方すら変えてしまった
「わたくしは、お二人とずっと一緒に居るつもりですわ
恐らくセレナ様やフレイヤ様も同じお気持ちでしょう」
確かにそうだ
エルグランド様は王太子、側妃や公妾を持つ権限がある。
私も今のメンバーなら楽しく王族をやっていけると確信している
「ほら、こっちに来て?」
あっ
今までを思い出してボーッとしていたらエルグランド様に腕を引かれて抱き寄せられた
両方の頬に柔らかい感触が…何が起こったのか理解するのに数秒かかり、エルグランド様とセレスティナ様
ううん、エル様とティナ様にサンドイッチキスをされたことを理解する
恐らく私は今、林檎のようになっているのだろう
も、もう!!//
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