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お茶会当日
馬車の中で揺られるセレスティナはのんびりとした様子で、緊張は見られない。一緒に乗っている兄のバージルはそのことに意外感を露わにした
「ティナ、随分と落ち着いているね?」
ニコッと上品に微笑んだ妹は理由を話し始める
「殿下がいつも通りのティナでいいんだよと仰ってくれたからですわ!
作法さえ変な風にならなければ大丈夫ですの!」
なるほど、とバージルは思った
作法に関しては母が熱を入れて教え込んだので不安は無い。
今まで当主であり家長である父が甘やかし放題だったためそのままでは不安があったが、付け焼き刃気味ながらもセレスティナが優秀で覚えも良かったため問題なく及第点となっている
娘が王太子と婚約したことで、今まで父に遠慮がちだった母の立場が強くなったことが良い方向に働いているとバージルはしみじみ思った
11歳ながらに、バージルもまたレジアナーナやマリーナと同じ懸念をどこかで感じていたのかもしれない。でなければ将来の断罪要員になどなり得ないのだから
「お友達、出来るといいですね」
「そうね!利権は絡むけどね!」
まだまだ純粋で居てほしい、そんな気持ちからかけたマリーナの言葉には屈託のない笑顔で大人な返答が帰ってきた
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