卒業&ゴールイン

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〜マリーナ〜 嗚呼。 ついにこの日が来た 私達使用人にも笑いかけてくれ、家族のように接してくれる、心優しい私の主人は王妃への公式な第一歩を踏み出したのだ 私、奥様、バージル様はお嬢様が小さい頃は共通の懸念を持っていた お嬢様は、良くも悪くも素直なお方。社交界に入れば恐らく様々な人と衝突するだろうと 旦那様の甘やかし具合、過保護さはそれ程ひどかったのだ 息子であるバージル様や、お嬢様の専属侍女でしかない私ではなかなか旦那様に意見は出来ないので暴走を止められるのは奥様しか居なかった しかし 奥様もまた旦那様に違うベクトルで逆らえないのだ。チェリー公爵家は夫婦は対等をモットーにしているのだが、奥様が怒ると旦那様は子犬のようになってしまい、奥様はそんな旦那様にときめいてしまって言いたいことが有耶無耶になってしまう このままではダメだとどこかで思っていた また、今のお嬢様ではとても王太子殿下への顔合わせなど出来ないと私や奥様は話し合っていた…あの顔合わせは、旦那様の独断専行だったのだ 今でも、王城の中庭で呆気にとられたあの日が昨日のことのように思い出される あの時、王太子殿下は既に40年以上の記憶とそれに付随する知識や価値観をお持ちで またうっかりミスで殺したお詫びという建前で、悪ノリ全開で詰め込まれた強大な神々の祝福を持って、お嬢様と対峙したのだ 想像の産物だと理解しながらも、物語を知ってから計25年も恋い焦がれ続けた、私のお嬢様とーーー 「次はマリーナの縁談かな?」 「ええ!素敵なお相手を見繕いましょう!わたくしの姉のような存在なのですから並大抵の殿方には渡しませんわ!!」 も、もう! 私のことまでそんな風に心配して頂かなくていいんですよ!! …そうは言いつつ、嬉しい 花嫁衣裳のお嬢様が私をぎゅっと抱き締める …やはり、離れたくはありません。一生お仕え致しますわ!
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