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「マリーナ、ちょっとやり過ぎじゃないかしらこれは…」
鏡に映る自身を見てセレスティナは恥ずかしそうに俯いた
「大丈夫ですお嬢様
本当に美しいですわ…うっとりします」
今日は王城で国王夫妻が主催する舞踏会。彼女と婚約者にして王太子のエルグランド、アリシアの社交界デビューの日。学園に入学してしまうとなかなか社交界と関わる機会が少なくなるので入学前に顔合わせを済ますという方針によるものだ
セレスティナは凝った金の装飾が施されたダークブルーの、ワンショルダーのマーメイドドレスでバッチリドレスアップされている
髪飾りなどは全てエルグランドからの贈り物。この日の大まかなドレスアップの方向はマリーナと彼の間で打ち合わせ済みだったようだ
王太子の、髪と瞳の色…顔を赤くして俯きつつも満更でもなさそうな彼女の控え室が優しくノックされた
「ふふふ、きっと殿下ですね」
パタパタ扉に小走りで向かいマリーナが確認を取る
「ティナ、似合ってるよ」
入ってきた婚約者は普段サラッと左右に流していた少し長めの髪をオールバックにしており、一筋前に垂らして少しニヒルな感じにセットされていた
シルバーの三つ揃いの上着がコートのように長い正装のタキシードには光沢のある紫の糸で全体に繊細な縁取りの刺繍が施されている。ティナの髪と瞳の色。
「え、エル様…もう////…エル様もお似合いですわ」
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