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「じゃあ、行こうか」
「はい!」
「エルグランド・ファンブルケ・エスカバル王太子殿下、ご婚約者セレスティナ・ヘレナ・チェリー公爵令嬢ご入場!!」
煌びやかな王城の大ホール。出入り口の警備は、エルグランドがスカウトしたソフィーティアとアナスタシア姉妹で行われていたため、姉のソフィーティアが入場のアナウンスを務めた
会場に2人が入ると、ザワッとどよめきが起きる
社交モードなので澄ました微笑で優雅に会場中央に向かう2人だが、頬が僅かに赤く染まっていて仲睦まじい様子は隠しきれていなかった
互いの髪と瞳の色に身を包み、リボンとタイは同じレースの装飾をした白と黒が反転したお揃い
「素敵ですわ…」
「お熱いですねぇ…」
うっとりと眺めるセレナ達
そのまま音楽が鳴り始め、1回目のダンスが始まる
エルグランドは嬉しくも少し憂鬱だった
今日のような公式の席では、婚約者の居る女性にダンスの相手を申し込むのは身内以外は略奪愛の意思表示にあたるため、ティナは自分以外に踊るとしたらバージルぐらい
ただ王太子である自分は、婚約者のティナとしか踊りません!というわけには行かないのが社交界の辛いところ
女性から申し込む場合は単に一曲お付き合いくださいプラスαの意味合いなので、特に相手が高貴な令嬢の場合断るのは侮辱になってしまう
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