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「あら、奇遇ですわね
今ちょうどその方の話題が出ていたところですわよ」
苛立ちを隠すこともせず、挑戦的な物言いで口を挟むフレイヤにエルグランドとセレスティナは苦笑しながらも優しい目を向ける
男爵令嬢であるサリーナとも親しくしている彼女。価値観は変わっても攻撃性は変わらないようだった
それどころか、本来偽善者令嬢の役割を果たすはずのサルビアも扇子で口元を隠し侮蔑の態度を隠そうともしない…本来の偽善キャラが潔癖症に進化しないか少し心配なエルグランドだった
「…そうですか。
殿下、理由を聞かせていただいてもよろしいですか?」
口調こそは丁寧だが、明らかに非難の色を孕んだ視線。全く親しくない者なのでいくら宰相の息子といえど不敬にあたる
「本人の今日の振る舞いが答え、それ以上何か説明が必要か?
婚約者のエスコートもしないどころか、高位貴族の令息ならよっぽどのことがない限り出席の欠かせないこの場に居ない
我が国はそんな者を王太子の側近に据えるほど人材不足では無いが?」
「そんなことをエル様に言ってくるのはあなたぐらいのものですわよ、ヴァンガード様」
セレスティナは表面上は穏やかだが、苗字呼び。全く仲良くする気は無いと言う意思表示だった
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