第四章◆暖炉の向こう側

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確かアルバさんは、人間界への扉の開閉回数とリストの人数が一致しているから、これで全員で間違いないと言っていた。 私がヴァンパイアに襲われたのは事実なんだから、必ずこの中に犯人がいるはず。 どうして該当者が誰もいないんだろう。 見ても分からないものを何度見返そうと、このままでは答えは出そうにない。 私はブラウスの袖を捲り、デスクの上にあった万年筆と白紙の羊皮紙を借りた。 広い床に羊皮紙を何枚か一列に並べ、その上を大きく横切っていくように、万年筆で長い一本線を書いた。 これを一ヶ月の時間軸とし、日付のメモリを書き込んでいく。 その時間軸の上に、リストのページを一枚ずつ切り離し、その人の滞在時間の部分に並べていった。 さらに日付のメモリに期間を表す矢印を書き込み、各人の滞在期間が一目で分かるようにする。 気が遠くなるが、一時間をかけてこの作業を百ページ分こなした。 「ん〜……」 作業が終わり、四つん這いの姿勢からようやく体を起こすと、肩を回し、首をポキポキとならす。 こういう地道な作業は大学の研究室で嫌というほどやっていた。 数字の情報を可視化し、これをもとに解析して仮説を立て、検証することで、やっと答えが見つかるのだ。 手がかりを掴めば、シュヴァルツさんに私のことが必要だと思ってもらえる。そうすれば、まだこの世界にいられる気がした。 再度床に四つん這いになり、身長よりも長い時間のグラフと向き合った。
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