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恐ろしくて、目を開けた。
「何これ……!?」
自分の体に暗闇が触手のように絡みついていて、すぐ目の前にあった暖炉の入り口が今は遠く、体が触手によって暖炉の奥へと吸い込まれていた。
すぐ側にあった足音も、もう聞こえない。
ずっと遠くで「いない。どこへ行った」と嘆く犯人の声が聞こえるだけで、やがて外の音は何も聞こえなくなった。
私の体は水の中に落ちていくように、暖炉の暗闇の奥底へと沈んでいく。
小さな白い光がぼんやりと現れた。
するとその光の中から誰かの手が伸びてきて、私の手首をがっしりと掴んだ。
「ひゃっ…!」
素肌じゃない、白い手袋をした男の人の大きな手。
「離して!!」
何かに掴まって抗おうともがいたが、何もない。
その手に引っ張られるまま、私の体はその光の出口へ向かって、手首から輪をくぐるように引きずり込まれていった。
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