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『どこに行けっていうの? 私は賭けに負けたからアメリカに居ちゃいけないんでしょ? ヨーロッパにも戻れないんだったら、望に責任とってもらって日本に居させてもらうしかないじゃない』
『はぁ? 賭けに負けるよりも先に、ステージを投げて他のみんなに迷惑をかけたのはあなた自身の責任でしょ? よく日本に来られたわね! 』
とんでもない言いがかりに、さすがの望も頭にきたが、常識が違い過ぎるのか、人をあてにするのが当たり前のように生きてきたからなのか、望の言葉はまるでリザに届かないようだ。いや多分聞こえないふりをしているのだろうが・・・・・・
『面白い女だな。お前、リザっていうのか。日本に来て何をやるつもりだったんだ? 』
聞かなくてもいいことをミハイルが聞いてしまう。
『そうね、私はファッションのことしか知らないから、呉服問屋ってどうかしら? 』
『面白そうだな。よしのった! ここらは土地が手に入らないから、船で商いはどうだ? 【黒船屋】なんてしゃれてるだろ? 』
『黙れミハイル! お前のは船じゃなくて潜水艦だ! 』
志貴は本気で怒っていたが、望も、猛も、芳人も噴き出してしまった。
笑っているみんなの姿が、ロビーのガラスに映っていた。どうやら日はすっかり暮れたようだ。
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