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尚も見学していかないかと引き留めるクルーを後にして、望は20mほど先にある灯台に行くための側道の入口へと歩き出す。すると、望を抜いていった車がその側道に入るために右折して、ヘッドライトが灯台付近に停まった車を照らし出した。
「あっ、あの車・・・・・・ 」
克己の車を見つけたと胸が躍ったのも一瞬で、側道の入口から灯台がある岸壁までの2,30mの一帯は、草ばかりで身を隠せるような建物はおろか、木さえ1本も生えていないことに気が付き、望は肩を落とす。
どうやったら、土地の登記事項証明書が李に渡るのを止められるだろうと考えていると、側道を通って克己の車の傍につけた車のヘッドライトが、灯台のすぐ横を東に向かって下っていく遊歩道を浮かび上がらせた。
望は中継車のところへ引き返すと、先ほど声をかけてきた男性に話しかけた。
「さっきは断ってごめんなさい。約束していた人が来れなくなったの。あの、灯台の東側に遊歩道があって、下った辺りなら、夜釣りに最適な場所があるんじゃないかと思うんですけど、一緒に見に行きませんか? 」
「ああ、美女からのお誘いは嬉しいね。まだ日が暮れたばかりで時間があるから、釣り道具一式を持っていこう。お~い、カメラマンと音声と照明も探索に行こうぜ! 」
呼ばれた3人が片手を上げて応えると、それぞれの機材を持って集まってくる。
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