Chp.2: V for VENDETTA - 1

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 行動理念の絶対遵守は、あらゆる活動組織にとって絶対的に揺るがないものとされている。当然だ。目的の為に手段を履き違えて来た『渚』がその姿勢のまま活動を続けていても、社会に影響を与える事は今でも出来なかった事だろう。その為には、組織内部の人間への徹底した思想の「教育」が必要となる。俺の様に、そうした手段や目的をちゃんと理解し、尚且つ雨宮の理想に共感したものだけが幹部や側近となれるのだ。  故に大半の構成員の扱いは『駒』に近い。雨宮こそ彼らを兵士と呼び多いに尊敬の念を払っている様だが、しかし使われる彼らは盲目的に雨宮と『渚』の理念を信奉するだけで、自分の意思で動こうとしない連中ばかりだ。俺達は皆対等な存在であるにも関わらず、一つの対象をむやみに神格化させるその姿勢がある限り、彼らは真の意味で『渚』を知る事は無い。 「尤も、それくらい強烈な『信仰心』が無ければ『渚』の活動はままならない。それどころか意味を無くしてしまう」  雨宮は言う。それは例えば、天誅だとか天罰だとか馬鹿らしい題目を唱え、作り上げたハリボテの大義名分を盾にする連中が富裕層から酸素生成装置や金品を略奪する事、個人的に都合の悪い相手を暴論により殺害する事。そういった、正に「理念と行動が伴わない」行いの無意味さと危険性を言っているのだ。  良い様に使える兵士は、良い兵士でなければならない。それはつまり、自分で考える事を放棄し、ただ言われた事だけを忠実に実行する様な。  そして、自己犠牲により武勲を立てる事を最高の名誉だと信奉する様な。     
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