Prologue: THE UNTOUCHABLES

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 ……車に乗り二十分程離れた公園に向かい、その入り口で私と秘書は車を降りる。ワゴンを運転していた職員は、駐車場探してきます、と言ってそのまま姿を消してしまう。私達は渋滞で取られた時間を取り戻す為、少し足早に敷地内を進んでいく。  旧東京二十三区内で最大規模の敷地面積を誇る公園は広く、まだ登下校や出勤退勤をする学生や社会人以外にも、観光や行楽で屋外を徒歩で移動する人も多い。公園も、平日の昼とは言えそこそこの混み具合だ。祖父曰く、子供の頃は俄然空いている混み具合だという事だったが。 「カンペ、要りますか?」  秘書が訊いてくる。ああ、と私は彼女の差し出した紙を受け取った。 「それよりも、マイクはちゃんと動くんだよね? これ」 「ええ」  心配性ですね、と言いたげに苦笑しながら、秘書はトントン、と自分のマスクを叩いてみせる。「ようやくデビューした初マイクの使用がこんな場で、不安ですか?」  若い世代はもう使い慣れているらしいマスク内蔵型の小型マイクは、携帯端末と同期させて使用する事で、マスクをしたままでクリアな会話が可能らしい。湿気やノイズなどの対策も万全で、端末をスピーカーに繋げば普通に喋るだけで屋外でも拡声器同様の効果を得られるらしいが、どうにもまだ最新機器に慣れないのは、やはり自分が歳を取ったからだろうか。     
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