Chp.1: WATCHMEN - 2

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Chp.1: WATCHMEN - 2

 私がこうして世間から騒がれる様になったのは、いつのタイミングの頃からだろうか。ただ、親父やお袋と同じ様に生活し、働き、生きてきただけなのに。今では、一部の人間は私を生き神様だなどと持て囃そうとする始末だ。  そもそも、私がまだ子供……つまりはまだ十歳かそこらだった頃、六十二歳まで生きる大人などというのは珍しくもなんともなかった。その歳で足腰曲がらずしゃんと立って歩く事さえ出来ていればまあ、お若いですね、と言われるかどうか、という程度のものだろう。  六十歳を過ぎたこの老人が社会に貢献出来る事など何一つありはしない。時々メディアのインタビューや取材の依頼が来る程度であり、それが社会貢献に役立っているかと言えば疑わしい。ごく普通の一般市民であれば受けられない社会援助や生活環境が少し優遇されるだけで、寧ろそれは多くの者からすれば妬ましく、そして嫌味に捉えられかねない。  事実、娘である瑞希は独り身となってしまった現状故に、私の世話を余儀無くされている様なものだった。     
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