Chp.2: V for VENDETTA - 2

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Chp.2: V for VENDETTA - 2

 何度問いただしても同じだ。私、池戸豊は三回目か四回目の質問を終え、心身共に疲弊して席を立った。ようやく厄介払いが出来た、という態度を崩そうともせず、フジカズコーポの広報担当者は先程とは打って変わった明るい表情で私を見送る。その清々しいまでの態度の豹変ぶりに私は担当官の男を殴りたくなったが、勿論そんな事はせず、ただ礼もせずにその場を立ち去るだけに止める。今では栽培も難しくなった天然の茶葉で淹れられた緑茶だけは有り難く飲み干してやったが。  まあ、この時期にテロ対策本部の人間がやってくれば企業は、特に火中の人物であるフジカズにとっては煩わしい事この上無いだろう。そんな扱いだった。  先日フジカズが公表した、環境ではなく人間の生物機構そのものを遺伝子操作により変更する、大気汚染危機に対する一つの答え。それは国内外の各所に衝撃をもって迎えられた。半分は将来への希望や展望に希望が見えたという事への衝撃。もう一つは、自らの肉体を人間の手で変質させ環境に適応する為の体になるという研究成果の目的の一つに対する衝撃。問題なのがどうちらの勢力か、言うまでもない。     
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