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お花見デート
可愛いニットベスト。
おじいちゃんとデートする時に着てねと、孫からの贈り物。
でも、ごめんなさい。このお洋服の出番はないかもしれないわ。
一緒にお出かけなんて、もう何年もしていないもの。
「なんだ、着ないのか」
箪笥にしまおうとしていたら、ぼそっとそんな声がする。
あら、いやだ。見ていらしたの?
「えぇ。眺めていただけよ」
箪笥に仕舞おうとしていたら、
「花見にでも行こうと思っていたんだが……」
旦那様の方へと顔を向ければ、ジャケットのジーパン姿で立っていた。
まぁ、とっても素敵。
「喜んで」
私は急いで支度をすませ、旦那様の元へ行く。
私の姿を見て、旦那様は何処か照れくさそうな表情を浮かべ、
「行くぞ」
と腕を差し出した。
まるではじめてデートをしたときのような、胸の高鳴りを覚える。
「はい、旦那様」
腕を絡ませ、私たちはお花見デートへと出かけた。
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