勇者の石

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次の瞬間。 「ぐっ……!」 ゴリラのうめき声が聞こえた。 恐る恐る目を開けると、そこには、鼻を押さえて前かがみになっているゴリラの姿があった。 少しの沈黙の後、ゴリラの鼻から勢いよく真っ赤な血が滴り落ちた。 「うおおおおおーっ!」 ゴリラが雄叫び……いや、叫び声をあげた。 同時に、目から大粒の涙がポロポロと流れ落ちた。 どうやらタケヒコ君は、ゴリラに頭突きを食らわしてやったようだ。 騒ぎを聞いて駆けつけた先生がその場を丸く収めたが、一部始終を見ていたクラスメイトたちの評価は、火を見るよりも明らかだった。 一躍ヒーローとなったタケヒコ君は、私の目の前に立つと、 「俺の頭突きは世界一だろ?」 と笑った。
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