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数日後、あの日出会ったメガネの男から女に連絡があった。
一つは幽霊の彼がどこかに消えたこと。
二つ目は、大柄な男が数日前に死んでいたこと、殺人だった。
あの日、初めて会って話をしたとはいえ、唐突な人の死はさすがに驚きと悲しみがあった。
それに、幽霊の彼がいなくなったとはどういうことだろうか。
死んで何年も三人に取り憑き、触れるほどの念でこの世にとどまっていたというのに……。
彼に連絡をしてみるが返信は無かった。もういなくなってしまったのだろうか。
それから一週間、またメガネの男から連絡はあった。
今日、坊主の男が死んだというのだ。しかも殺人で。
電話越しのメガネの男は、声だけでも明らかに動揺しているのがわかる。
落ち着かせようにもこちらの話が耳に入っていないようで、“次は俺だ次は俺だ次は俺だ”と言い続ける。
何しろ親友が二週続けて亡くなったのだ。女にも気持ちはわかった。
今はそっとしておこうと電話を切った。
だが、女の心にも何か引っかかることがあったが、このときはまだ、本人にもよくわからなかった。
一週間後、そろそろ落ち着いたかと思い、メガネの男に連絡するが通じない。
嫌な予感が脳裏によぎる。
聞いていた男の アパートの部屋へ急いで向かった。
ドアは鍵が開いていた。
そっと中に入ると、男は部屋の中央で天井から血まみれでぶら下がっていた。
女は警察に連絡した。
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