二話目 「触れる幽霊」

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   二人きりで会ったあの日、最後に彼が言った“ありがとう”は、人間扱いされてこなかった彼に優しく普通に接してくれた彼女への最後の感謝だったのだろうか。 だけどもう辛いことは何もない。 なぜなら本物の幽霊となった男は女にしか見えない存在として幸せに暮らしていけるのだから。 この先もずっと。女が死んだ後も、永遠に。
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