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二話目 「触れる幽霊」
日々の退屈な生活に疲れたOLがいた。
女は家に帰ってもやることのないのが嫌になり、居酒屋で知らない人に声をかけ、新たな友達を作ろうと考えた。
ある日仕事終わりに初めて行く店に入った。
週末だったので混雑していたが適当に座って注文をした。
すると、後の座敷に座っていた四人組の男に声をかけられた。
「一人ならこっち来ていっしょに飲みませんか?」
元々の目的があったので、すぐに了承して席を移動した。
男は皆同世代のサラリーマンだった。
わかりやすく見た目で分けると、メガネ、大柄、坊主、細身の四人だ。
彼らは学生時代からの仲らしく、女もその輪に交じって年が近いこともあり、予想以上に話が盛り上がった。
だが、女には一つ不思議に思うことがあった。細身の男だ。
彼だけ会話に参加せず、料理も食べず、酒どころか水も飲まない。
よくよく注意していると他の三人も細身の男について触れないようにしていると感じた。
この四人には何かあるのだろうか?
そう思っていると、ふらっと細身の男が立ち上がり、トイレか何かへ歩いて行った。
良い機会だと思い女は三人に聞いてみた。
「ねえ、彼ってどうして何も話さないし何も食べないの?」
一瞬、場の雰囲気が変わった。
が、メガネの男が少し言葉に詰まりながら口に出した。
「あいつ、幽霊なんだよ。」
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