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第001話「であったよる」
#001「であい」
会社の帰り、俺は普段の道をとぼとぼ帰っていた。
いつも通りの、薄暗い道。
コンビニの前を通り、公園の前を通り、一人暮らしの自分の家を目指し帰宅する。
すると、電柱の陰から何か鳴き声が聞こえた。
「フニュ…フニュー…(泣)」
聞いたことのないコミカルで不思議な鳴き声…。
そこに近づくと、縮こまってしくしくと声を細め泣いていた生物がそこにいた。
よく見ると、四角く箱のような頭をした猫が、電柱の陰で泣いていることが確認できた。
大きさは大体園児くらいか…。
「猫…?でも…ん?」
この子は何だろう…危険なのかかわいいのか…
すると、その子は、「ハッ!?」と俺の存在に気付いたようだ。
「ふにゃー!一人にしないでにゃー!」
急に俺の足にしがみついてきた。
まるで親を見つけた園児のようにその子は泣いていた。
「えっと…どうしたの?君はなに?動物?話せるの?」
自分の状況がよくわからないが、この子が危険な存在でないことはすぐ分かった。
「お名前は?」
「ススムゥ・フニュースケ…」
なんだその変な名前…。どこぞのファンタジー王国の王子のよう名前だった。
「どうしてここにいるのかな?」
「気づいたらここにいたの。真っ暗で怖いにゃ…。一人は寂しいにゃ…」
純粋に怯えているようだ。
「ぐうきゅぅぅぅぅ~」
すごいお腹の音が俺の耳に聞こえてきた。
「お腹…すいたの?」
「ふにゅ…」
コクリとゆっくり下を向いたままうなずいた
「はぁ…ほっておくのもあれだし…とりあえずうちくる?」
「!」
にぱーっと笑って希望が見るかったかのような表情をした。
よっぽどうれしく、安心したのだろう。
その時思った。
この子はとりあえず危険な子ではないと。
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