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それもそのはずだ。星は今までテレビなどでは『オカマ』を見たことはあっても実物を見るのは今日が始めて――しかも、それが筋肉隆々のガチムチとなれば尚の事だ。
おそらく。そんなサラザが星の目には、まるで凶暴なモンスターの様に目に映っていることだろう。
「あら、嫌われちゃったのかしら……その子。小動物みたいでかわいいんだけど、残念だわ~」
サラザは残念そうに指を咥えながら、星を見つめている。
自分を見つめるサラザに身の危険を感じだのかエミルの背中に隠れたまま、星がエミルの服を強く握った。
「それでサラザ。私達と一緒に行ってもらえないかな?」
そう言ったエリエは不安そうな表情でサラザを見た。
すると、サラザはにこっと微笑み自分の鍛えあげられた大胸筋を叩く。
「なにを水臭いこと言ってるのよ~。私達友達じゃない。友達の友達はマブ達と同じよ~」
サラザがなにを言っているのかはさておき、どうやら協力してくれるようだ。
「なら、一緒に行ってもらえるの?」
「もちろんよ! 前衛は私に任せて頂戴。うふふっ。私の筋肉が疼いているわ~」
念を押して再び尋ねるエミルにサラザはそう言って不気味な笑みを浮かべると、全身の筋肉をピクピクと動かした。
5人は身支度を整えるとエリエの言っていた富士の遺産ダンジョンへと向かう為、街の外れにある大きな花畑にいた。
「さて、この辺りでいいわね」
「なんでこんな所に来たの? 富士の遺産ダンジョンって確か、ここからエルアーディン平原を越えた向こう側のはずでしょ?」
「まあ、いいからいいから、始めてエミル姉!」
エミルはその声に頷くと、皆の前にいってコマンドを操作する。
すると、次の瞬間にはエミルの手にドラゴン召喚用の巻物が握られていた。
「皆、少し下がっててね。危ないわよ?」
エミルはそういうと巻物を広げ笛を鳴らす。その直後、辺りが巻物から出た白い煙で覆い尽くされる。
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