富士の遺産

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「後、付け加えるなら、フリーダムってゲームは世界中にサーバーがあって、各サーバーから他のサーバーへの行き来も自由にできるように作られているわ。でも、今はそれもできなくなってるみたいね~。一度試したけど、外国サーバーに行く為の機能も、今は失われてしまってるみたいなのよ~」  サラザのオカマ特有の喋り口調に星は苦笑いしつつも、ここが地球でいう日本だと言うことは理解した。  その直後、エミルの声が響いた。 「見えたわ! あそこよ!」 「……えっ?」  エミルが前方を指差して叫んだ。星がその場所を見ると、そこには富士山によく似た山がそびえ立っていた。だが、唯一違うのはそれが火山ということだ。  その頂上付近の雪が溶けていないのは、ここが現実ではなくゲームであることを表していた。エミルは直後にリントヴルムにその富士の火口付近に降りるように指示を出す。   5人はリントヴルムの背から降り、エリエの案内でゴツゴツとした岩場を進んでいくと、その先に小さな洞窟を見つけた。  エリエの話によると、この洞窟から入ることで通常とは別のルートに繋がっているらしい。  洞窟の中に入ると入り口は狭いものの、中は意外と広く洞窟のあちらこちらには松明が絶え間なく燃え続け辺りを照らしている。 「へぇー。こんな抜け穴があったのねー」  エミルは洞窟内を見渡して関心したように呟く。  すると、エリエは自慢げに「私すごいでしょ!」と胸を張った。
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