富士の遺産

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 エミルはそんな星の頭を優しく撫でるとにっこりと微笑む。 「大丈夫よ、星ちゃん。ボス部屋に居るという事は、彼女もモンスターのはず。死んだりはしないわ」 「なら、いいんですけど……でも、凄く悲しそうです……」  星は悲しそうに泣いている女性の方を見つめている。 「まあ、言うより見てもらった方が早いかしらね!」  エミルはすすり泣いている女性の姿に戸惑っている星の迷いを取り除こうと、その女性目掛け駆けて走って行くと躊躇なく持っていた剣を振り抜いた。 「はあああああッ!!」  彼女の攻撃が当たる直前に、今さっきまで確かにそこに居たはずの女性の姿は跡形もなく消えた。 「えっ? どうして……?」  エミルが不思議そうにキョロキョロと辺りを見渡した。すると、彼女の足元の地面から突然大蛇の頭が現れエミルを襲う。 「きゃあああああああああッ!!」  エミルは足元から突如現れた大蛇に、反応することもできずに吹き飛ばされてしまう。  宙を舞った彼女の体はそのまま強く地面に叩きつけられ、エミルのHPゲージは見る見るうちに減少し、半分を少しきったところで止まった。 「エミルさん!」  星は大きな声で彼女の名前を呼んだが、返事が返ってこない。  どうやらエミルはさっきの衝撃で気を失ってしまっているらしく、その場に横たわったまま微動だにしない。 「エミル姉!!」  エリエがエミルの元に駆け寄ろうと走り出した直後。轟音とともに地を裂いて、地面から8つの頭を持つ蛇が姿を表した。
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