富士の遺産

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 固有スキルとは、プレイヤー作成時にランダムで選択されるスキルのことで、レア度によってそれぞれランク付けされている。  サラザの体から突如として金色のオーラが立ち上がったのも、エミルが使っていたドラゴンを召喚する能力もこの固有スキルによるものだ。  マスターの固有スキル『明鏡止水』は世界で何十万というプレイヤーが存在するフリーダムの中でも、5人しか持っていない。レア度はSランクと、とても珍しいスキルだ。  彼の固有スキル『明鏡止水』は肉体強化系のスキルを記憶し、自分の能力として何度でも再使用ができるというとんでもないチート的なスキルなのだ。 「ええい。人の話の邪魔をしおって……カレン! 何をぼさっとしておる。お前も戦わんか!」 「はい、師匠! それではエリエさんは、御二人を守って下がっててください!」 「うん。分かった!」  エリエにそう言い残し、カレンがマスターの元へと向かって勢い良く走り出した。  ボス部屋の入り口付近まで戻ったエリエは、扉のすぐ隣に寝かせ戦いの行方を見守っている。 「お待たせしました。師匠」 「来たか……行くぞっ! カレン。あやつの首を1つだけ残して、全て切り落してくれるわッ!!」  気合十分に地面を蹴って跳び上がったマスターに続くようにカレンもその細い足で地面を蹴って、ヤマタノオロチの首目掛けて跳び掛かった。  危険を察知したのか、8つの首のうち6つが2人目掛けて襲い掛かる。
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