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その直後、その場に居た全員にダンジョンの報酬とアイテムが配られる。その後、マスターの視界に。
【トレジャーアイテム 天女の羽衣をドロップしました。取得者を選択して下さい。】
っという表示が一斉に表示された。
だが彼は押さずに、周りにいたデイビッドの方に目をやり。
「お主らが狙っていたのはこのアイテムであろう? ならば必要な者が持って行くが良い」
「なっ……師匠!? これは師匠が敵を倒して手に入れた物です。師匠が貰うべきです!」
その言葉にカレンが驚き、声を荒らげた。
それもそのはずだ。本来ならば、最もダメージを負わせた者に与えられるのが通例となっている。そのドロップアイテムを、大して手柄も上げていない彼等に渡すことが許せないという感情も無理はない。
すると、マスターは小さく息を漏らし。納得できないといった表情のカレンを諭すように言った。
「――良いかカレン。物とは必要な者へと行きたがるものだ。確かに、奴を倒した儂にはこれを受け取る権利があるかもしれん。しかし、真にこれを受け取るべき者は、この儂をここに呼び寄せた者だろう。もしも、物にも意思があるとすれば……その者のところへ行きたいという強い思いが、必然的に儂をここへ呼び寄せたのだからな」
「……師匠」
「それが分からぬうちは、お前もまだまだ未熟ということだ……」
「は、はい……」
マスターから言われたカレンは、なおも不服そうな顔のままだったが渋々ながらに頷いた。
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