血路を開け!

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 エリエはそんな星の様子を少し心配そうに見ながらテントの中を出る。  すると、外ではエミルとマスターが焚き火の前に隣り合って座って、お互いに難しい顔をしていた。  それをデイビッドやサラザも神妙な面持ちで見守っている。 「皆。どうしたの? そんな真面目な顔して……」  そう言ってエリエが話し掛けると、エミルがエリエに向かって手招きをするのが見えた。  エリエは首を傾げながらも、エミルの隣に腰を下ろし彼女の顔を見上げる。 「エリー。星ちゃんは?」 「えっ? 星なら、もう寝るって布団に入ったけど……もしかして、さっきのこと?」 「ええ、カレンさんの事をマスターに聞いてね。エリー、実は……」 「いや、それは儂の口から直接話そう」  話をしようとしたエミルの話の間にマスターが口を挟んだ。  マスターは心を落ちつかせるように瞳を閉じると、重い口を開き徐ろに話し始める。 「――儂とカレンが出会ったのは今から5年前の事だ…………儂は知り合いの男にボランティアで、演武を見せて欲しいと言われ、ある街の孤児院に行ったのだ――そこの孤児院に居たのが、カレンだった。そしてそのカレンを儂が養子として引き取ることにしたのだ」  感慨にふけりながら噛み締めるように、ゆっくりと話をする彼にエリエが首を傾げる。 「どうして、あいつを養子にしたの? 他にも子供はたくさん居たんでしょ? 性格のいい子が……」  納得いかないと言った表情でマスターに聞く。  マスターは小さく頷くと「どうしてだと思う?」と逆に質問で返した。  その言葉に、彼女は少し不機嫌そうに「分からないから聞いたんだけど……」と言って眉をしかめる。 「あははは、そうだったな。それはカレンがあの孤児院で誰とも関係を持ちたがらなかったからなのだ……おそらく。その孤児院にくるまでに、壮絶な人生を歩んでいたのだろうな。そこで儂に見せたカレンの目が今も忘れられないのだ」 「……目?」 「ああ、あの時のカレンの目に、儂は魅入られてしまった。その時、直感的に『磨けば光る。何か……』それをカレンが持っていると感じたのだ」 「磨けば光る何かって?」  エリエがそう聞き返すとマスターは「今はまだ分からん」と呆気無く返され「なに、それ……」と呆れ顔で呟いた。
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