理想と現実

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「なら、行くぞ!」  カレンが地面を蹴ったかと思うと、星との間合いが一気に詰まり握り締めた拳を前に突き出す。 「はああああああああッ!」  カレンの声と同時に、風切音が耳に飛び込んでくる。  星はそれを鞘付きの剣で防いだが、呆気無く飛ばされてしまう。 「きあああああああ!!」  悲鳴を上げながら軽々と飛ばされた星の体は、しばらく地面を転がって止まった。  派手に飛ばされ、地面に倒れ込む星の体が微かに動く。 「うぅ……い、痛い……」  飛ばされた時に痛めたのか、左肩を押さえたままゆっくりと立ち上がる。  その痛みから、カレンが手加減をしていないことが伝わってきた。  剣で防いでいなかったら危なかっただろう。 (カレンさん。本気だ……こんな攻撃を体でまともに受けたらHPが……)  星はちらっと左上の円状になっているHPバーを見ると、すでに4分の1ほど減っていた。  円の中の数値は800となっている――どうやら剣で防いだのが功を奏したのは間違いない、剣がなければ間違いなくHPの半分は削られていただろう。 「チッ! 一撃で楽にしてやろうと思ってたのにな……」 「そう簡単には……やられませんよ? 勝つのは私だから……」  カレンの言葉に返すように、星は笑みを浮かべている。 「そうかよ……本当にムカつくガキだな。お前はッ!!」  そんな星の様子が気に食わなかったのか、怒りを露わにしたカレンが星目掛けて突撃してくる。  星は透かさず剣を構え直す。  その瞬間、向かっていたはずのカレンの姿が消えた。
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